人種が違うからか最初は気付かなかったが、日本人にしては彫りの深い顔をしている。おとなしく座っているのが気持ち悪いな、と思ってからひょっとして初めて、静かにしている男を見たかもしれない事に気付いた。
ギースはありとあらゆるものが好きで、その中でも特に人間が好きで、中身を探ってみたり造形をただ眺めているだけでも十分楽しい。蒐集癖に似ていると自分では思う。よくわからないものを集めて、あれこれ考えるのが好きなのだ。便利なのとはまた違って、わかるものは悉くつまらない。
山崎の眼球がギースを見る。一瞬だけ黒目が殺意の光をはらんで、すぐに元の、水たまりの底みたいな目玉に戻った。それも雨の日の。
口を開けて何かを言おうとして、山崎は舌打ちするだけにとどめた。この男の感情は傍目にわかりにくいだけで、種類が少ない。
こう見ていると、ビリーと似ていると思ったが案外似ていない。
「どうした?」
山崎自身は関わりたくも無いのだろう。疎んじるような目つきと眉間の皺は、部屋に来た時からずっとだ。機嫌の悪さを隠そうともしないで、深いため息を山崎は吐いた。
「……どっからキレていいかわかんねェンだよ、テメェは」
どこからでも構わん、と言ったらどんな顔になるだろうか。





ギースに向かっていった対戦相手は、ほんの一瞬だけ重力を無くしたようにふわりと宙を舞う。
それでも見せかけではあるからすぐに重力は戻ってきて、どさりと地面に落ちることになる。ギースの目線はその動きを追って、相手が立ち上がるとにんまりと満足げに歪む。とうとう動かなくなると、途端に興味を無くしていた。
遊んでいる。気を抜いているという意味ではなく、本人は至極真剣ではあるが、この男にとっては遊びでしかないのだろう
「ギース」
今頃暇つぶしに付き合わされている気分になって、苛立ち混じりに呼べば、なんだ、と今思い出したように、控えている自分とビリーの方を見る。
「さっさと済ませろ、まだ次があンだよ」
「貴様だってやっている事だろう」
「一緒にすんな」
ギースの周りでは、直に触れるか人を介すかの違いだけで、どこにいても血と呻き声が生まれ出ては消えていく。山崎に分かるのは、それを良い悪いに分けることすらとうにやめて、当たり前のように笑っている男の中身は気味が悪いというだけだ。



上:なんか呼ばれた
下:餓狼悪人チームで参戦中

みたいな感じでよろ